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BrainMesh ご利用案内
研究参加者向け 導入ドキュメント | 目的・理論・使い方・可能性と限界
⚠ 重要(最初にお読みください)
本システムは研究用プロトタイプです。医療機器ではなく、診断・治療の判断には使用できません。
表示されるすべての指標・マップは未較正の研究用参照値(research prior)であり、臨床的に検証されていません。
実際の診療判断は、必ず通常の読影・診察に基づいて行ってください。
1. 本研究の目的とロードマップ
BrainMesh は、頭部 MRI(DWI / ADC / FLAIR / T1 / T2)から、びまん性軸索損傷(DAI)をはじめとする
外傷性脳損傷のリスク分布を可視化し、専門医の判断(アノテーション)と突き合わせて蓄積する研究プラットフォームです。
ゴール
- 第1段階(現在): 合計 100 症例の MRI と、専門医による「高リスク領域」アノテーションを収集する。
- 第2段階: 収集したデータ(多系列 MRI+導出マップ+専門医ラベル)を教師データとして、
深層学習(Deep Learning)エンジンを開発し、リスク推定を自動化・高精度化する。
= 皆さまのアップロードとアノテーション一つひとつが、次段階の学習エンジンの土台になります。
2. 理論的背景
2.1 シーケンス代数(観測損傷マップ)
各 MRI 系列は異なる病態に感受性を持ちます。これらを論理的に組み合わせ、損傷の「観測像」を作成します。
- 観測損傷(OBSdamage)= DWI ∧ ADC ∧ FLAIR の急性期シグネチャ(拡散制限+浮腫)。
※ DAI に特異的ではなく、急性期の拡散制限・浮腫の複合像です。
- 組織状態(TISSUEstate)= 浮腫(vasogenic)/拡散制限(restricted)などの組織分類。
- シャインスルー(SHINE)= DWI の T2 透過成分を分離し、真の拡散制限と区別。
- 慢性度(chronicity)= FLAIR と T2 の比較から、空洞化(慢性)か活動性浮腫(急性)かを推定。
2.2 個別化された有限要素ひずみ(FE strain)
外傷時に脳組織にかかる機械的ひずみを、有限要素人体モデル THUMS を用いて推定します。本システムでは
「個別化のはしご」のうち 2 段階を実装しています。
- 形状の個別化(Tier 1): 汎用 THUMS 頭部メッシュを、患者の脳形状へ非剛体変形(Dice ≈ 0.94)。
- 荷重の個別化(Tier 3): 観測損傷の分布に最も整合する荷重シナリオの事後確率を推定し、
シナリオ群の加重平均としてひずみ場を構成。
注意: 形状と荷重は患者由来ですが、脳組織の材料物性は汎用 THUMS のまま(患者固有の弾性計測=MRエラストグラフィ等は未実施)。
したがってひずみマップは「患者由来の生体力学的リスク参照」であって、患者固有の確定解でも、損傷の実測でもありません。
2.3 各指標の意味
| 指標 | 意味 | 位置づけ |
| C-index(ESBI) | 構造的損傷量プロキシ(grade 1–3+0–100)。病変の深さ・量・ピークから算出。 | 実験的・未較正。臨床的重症度ではない。 |
| 左右差(Laterality / AI) | 病変がどちらの半球に多いか(L%/R%、AI=(L−R)/(L+R))。 | 病変の偏在を示す。 |
| 正中偏位(Midline shift) | 正中構造の側方偏位(mm)。2D 指標+3D たわみ面。占拠効果の目安。 | 対称性ベースの実験的プロキシ。実測の falx–septum 距離ではない。 |
| 慢性度(Chronicity) | 空洞化/活動性浮腫の比(0=急性、1=慢性)。 | 上限値。CSF 除外なし、未較正。 |
| 経時変化(Δ / Temporal) | 連続スキャン間の新規/消退領域。 | z スコア(物理量ではない)。研究・例示用。 |
※ 正中偏位は、病変が強く偏在する場合に信号ベースの推定が交絡し得るため、その際は構造(マスク)ベースの推定値へ自動的に切替え、⚠ confounded と表示します。
3. 使い方
3.1 アカウント作成・ログイン
- 配布された URL を開く。
- 「Create an account(アカウント作成)」から、ユーザー名・パスワード・招待コードを入力。
- 以後はそのユーザー名・パスワードでログイン。
3.2 MRI のアップロードと自動解析
- Ingest 画面で、DICOM の
.zip(または DICOM フォルダ)をドラッグ&ドロップ。
- 変換(dcm2niix)→ 各マップ生成 → 解析が自動実行され、C-index・正中偏位・慢性度などが算出されます(1 ドロップで完結。約数分)。
- 完了後、Studies(症例履歴)に追加されます。⟳ Run analysis は、既存症例に対して解析をやり直す場合のみ使用します。
3.3 マップの閲覧(Maps)
- 左:材料事前分布、右:観測損傷など、系列・閾値・不透明度・グリッドを切替えて確認。
- パネル上部に C-index(左上)、Laterality+Midline shift(右上)のバッジ、C-index ポップアップ内に 3D たわみヒートマップを表示。
- 3D 画面では脳と各マップを立体表示。
3.4 アノテーション(読影者スタディ)
Annotate 画面で、専門医が「DAI 高リスク」と判断する領域を記録します。これが第2段階の教師ラベルになります。
- Phase A(盲検): ひずみマップを隠した状態で、生 MRI のみを見てリスク領域をマーキング(先入観の排除)。
- Phase B: 予測ひずみマップを見ながら、「高リスク」とみなす閾値を較正。
- 描画ツール:Freehand(ドラッグで輪郭)と Points(クリックで頂点配置→ Enter で塗りつぶし、右クリックで領域削除、軸位限定)。確信度(1 possible/2 probable/3 definite)を選択。任意の系列上で描画可能。
4. 可能性(できること)
- 多系列 MRI と生体力学的ひずみを同一座標で統合表示し、損傷の空間分布を直感的に把握。
- C-index・左右差・正中偏位・慢性度・経時変化を1 つのダッシュボードで一覧。
- 専門医のアノテーションを盲検・再現可能な形で蓄積し、施設横断で共有。
- 100 症例の蓄積後、これらを教師データとした深層学習エンジンの開発へ接続。
5. 限界と注意点(できないこと)
- 診断には使用できません。 すべて研究用の参照値であり、臨床判断・確定診断の根拠にはなりません。
- 未較正: C-index・正中偏位・慢性度・経時変化はいずれも実験的で、アウトカムによる検証がありません。数値は相対的な目安です。
- ひずみは汎用材料: 形状・荷重は患者由来でも、組織材料は汎用 THUMS。患者固有の確定解ではありません。
- 出血の検出には限界: 急性出血・微小出血は感受性強調像(SWI / T2*-GRE)または CT が必要で、本系列(DWI/ADC/FLAIR/T1/T2)だけでは確実に検出できません。
- 観測損傷は DAI 特異的ではありません(急性期の拡散制限・浮腫の複合像)。真の軽症脳震盪は MRI 陰性のことが多く、本系列では捉えられない場合があります。
- 共有ワークスペース: ログインしたユーザーはサーバー上の全症例を閲覧できます(利用者ごとのデータ分離はありません)。
6. データの取り扱い
- MRI はポータル経由でアップロードしてください(メール添付での画像送付は行わないでください)。
- 患者情報の取り扱いは、各施設の倫理規程・同意手続きに従ってください。可能な場合は頭蓋除去・匿名化を推奨します。
- 招待コードは研究グループ内のみで共有してください。漏えい時は管理者が再発行できます。
7. 次の段階:深層学習エンジン
100 症例とそのアノテーションが揃った時点で、第2段階として、多系列 MRI+導出マップを入力、
専門医ラベルを教師信号とする深層学習モデルを構築します。目標は、現在のルールベース/生体力学ベースの参照値を、
データ駆動で較正・高精度化し、最終的にリスク推定を自動化することです。皆さまの一症例ごとの貢献が、この学習エンジンの精度を直接左右します。